新型コロナウイルスで世の中が大変な状態となっていますが、感染拡大を防ぐためにいろんな取り組みがされています。
そんな取り組みの中で、ちょっと不思議な特別措置が決まりました。
それは、車やバイクの車検についてです。
その措置について今回は説明します。
車検期間先延ばし措置
国土交通省の発表(2月28日付)によると、
「自動車検査証の有効期間が、令和2年2月 28 日から3月31日までの自動車について、全国一律に令和2年4月30 日まで自動車検査証の有効期間を伸長します」
単純に言うと、3月に車検が来る人は通常その期日までに車検を受けないと乗れなくなりますが、今回の措置で4月末までに受ければ良いという事です。
この措置は、もともと3月は車の登録が多い月であり、その分車検を受ける車両も多いことになります。
また、3月は翌年度に自動車税がかからないようにするため、未使用車や不要車の廃車手続きが殺到し、ただでさえ運輸局の窓口は大混雑します。
そこに今回の新型コロナウイルスが重なっています。
国交省の出している措置
国交省は、今回の措置を取った理由について以下のように説明しています
年度末の繁忙期については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐためには、患者クラスター(集団)を生み出すことを防止する集中的な対応が重要です。
このため、当該期間に自動車検査証の有効期間が満了する車両について、自動車検査証の有効期間を伸長し、全国の運輸支局等の窓口に申請者が集中しないよう分散を図ることとします。
次に、特例措置の対象車や注意点を、国土交通省が出している文書から抜粋します。
もし、ご自分の車やバイクがあてはまる場合は、内容を良くご確認の上、ゆとりを持って車検の予約をとってください。
●対象車両
自動車検査証の有効期間が満了する日が、2月28日から3月31日までの自動車全て
●措置内容
自動車検査証の有効期間を4月30日まで伸長
●継続検査の手続き
対象車両については、4月30日までに継続検査を受検すれば引き続き自動車をご使用いただけます。 なお、有効期間の伸長による自動車検査証の記載変更の手続きは不要です。
●自動車損害賠償責任保険(共済)の手続き(締結手続の特例措置)
継続検査を受検するまでに保険契約期間の終期が到来する保険契約については、継続契約の締結手続きが4月30日を限度として猶予されます。詳しくは契約先の自動車損害賠償責任保険(共済)代理店等にご相談ください。
以前にもあった車検の特別措置
今回のような車検の特例措置は、「道路運送車両法」の規定を適用しておこなわれています。
その条文は以下の通りです。
<道路運送車両法第61条の2(抜粋) >
国土交通大臣は、一定の地域に使用の本拠の位置を有する自動車の使用者が、天災その他やむを得ない事由により、継続検査を受けることができないと認めるときは、当該地域に使用の本拠の位置を有する自動車の自動車検査証の有効期間を、期間を定めて伸長する旨を公示することができる。
2 前項の公示があつた場合には、当該地域に使用の本拠の位置を有する自動車の自動車検査証の有効期間は、公示の定めるところにより伸長したものとみなす。
近年の車検特別措置
車検の特別措置は最近もありました。
それは、昨年相次いだ台風被害でも、以下のように各地で車検の有効期間先延ばしの措置が取られています。
●台風19号/東京都西多摩郡奥多摩町日原地区に使用の本拠を有する車両について日原地区から同地区外とへの交通が可能となった日の2週間後の日の翌日まで伸長
●台風19号/1都13県の地域に使用の 本拠を有する車両について、最大2ヶ月伸長
●台風第15号/袖ケ浦自動車検査登録事務所及び千葉県の一部地域に使用の本拠を有する車両について、最大1ヶ月伸長
ご覧のように、先延ばしの期間はその都度違います。
起こってしまった被害の大きさに応じて差が設けられていることがわかります。
もし、ご自分がこのような被害にあわれたときは、まずは国土交通省や運輸支局、車検を依頼しているディーラーなどに、早めに問い合わせてみてください。
この措置の注意点
今回の特別措置によって、3月車検の方は4月末まで先延ばしが可能となりましたが、注意しないといけない点があります。
それは、自賠責保険です。
今回の措置では、車検期限が先延ばしになり、それに伴い自賠責保険が切れてしまっても
車検を受ける時に次回の期間分の自賠責保険に加入でOKとなっています。
本来ですと、自賠責保険は車検満了期間をすべてカバーしていないと駄目なんですが
今回の措置では、先延ばしした期間は自賠責保険は切れていても良いとなっています。
このおかげで車検を先延ばしすると、通常ですと1か月分余分に掛かる保険代が今までと同じ条件で加入できるメリットがあります。
ですが、落とし穴があります。
特別措置で車検期間は伸ばせます。
伸ばした際は、自賠責保険は次回の車検満了日をカバーしていれば良いことになりました。
でも、もし先延ばしした期間に自賠責保険が切れていた場合
もしもの事故があったとき、自賠責保険は無加入の状態となります。
この辺りは、国交省の発表でも以下のようになっています。
●自動車損害賠償責任保険(共済)の手続き(締結手続の特例措置)
継続検査を受検するまでに保険契約期間の終期が到来する保険契約については、継続契約の締結手続きが4月30日を限度として猶予されます。詳しくは契約先の自動車損害賠償責任保険(共済)代理店等にご相談ください。
自賠責保険の継続は猶予されるとありますが、保険加入状態とならないと言う事です。
結論をいいますと
特別措置にて車検を先延ばしにする時は、今入っている自賠責保険の期間を確認すること。
車検期限を先延ばしするときでも、自賠責保険は先に次回車検完了日(先延ばしして受ける日以降)の期間で先に加入しておくこと。
これが大切になります。
ただし、本来の車検期限から先延ばしした期限まで、その車やバイクを使用しないときは何の心配もありません。
まとめ
今回の様な特別措置はあまり聞きませんが、ちょくちょくあります。
新型コロナウイルスでは、感染拡大を防止が一番難しいことだと思います。
毎日のようにメディアで取り上げられている、患者クラスター(集団)を生み出すことを防止することが大切です。
ただ私は思いました。
台風災害の様な自然災害の場合は、車検どころでないのが本音です。
でも今回の新型コロナウイルスではどうなんでしょうか?
車検は大体の方が、業者やディーラーに頼みます。
陸運局に行くのは、この業者やディーラーの方です。
この方々は、車検の件数に関係なく陸運局に出向きます、それが仕事ですから。
今回の車検先延ばしの特別措置が、拡散防止に繋がるのか私にはわかりません。