
今回は医薬品の発毛剤に使われている発毛成分ミノキシジルについてわかりやすく解説します。
なぜ発毛剤と育毛剤にわかれているのか、どちらも同じと思っている方も多いと思います。
その違いも含め解説いたします。
発毛剤と育毛剤の違い
まずは発毛剤と育毛剤の違いについて説明します。
発毛剤・・・医薬品・・・脱毛、薄毛の治療に使う
育毛剤・・・医薬部外品・・・脱毛、薄毛の予防に使う
このように、治療なのか予防なのかの違いが最大の差となります。
医薬品と医薬部外品では、作用の強さと安全性に違いがあります。
「医薬部外品」は効き目が穏やかな分、安全性も高い。
「医薬品」はどのぐらいの効果があり、どのような副作用がどのぐらい出る可能性があるのかなどの安全性が明らかになっています。
さらに「医薬品」はその効果や安全性によって第1類から第3類まで、さらに細かく分類されています。
医薬品 発毛剤とは
発毛剤には、発毛効果が認められた成分が含まれていて、その効果を期待して壮年性脱毛症の治療に使用する医薬品ということになります。
医薬品の発毛剤として、国内外の臨床試験で、壮年性脱毛症に対する発毛効果が認められているのは、外用薬のミノキシジルだけです。
医薬品の発毛剤は、明らかな有効性と安全性のデータが確認されているため、個人差はあるものの、発毛効果は期待できると考えて良いでしょう。
発毛成分はミノキシジル
ミノキシジルは、90か国以上で承認されている有効な成分です。
頭皮に使用することで毛包に直接作用し、発毛、育毛効果を発揮します。
発毛剤であるミノキシジルの発毛効果とは、どのような効果のことを言うのでしょうか?
壮年性脱毛症では、成長期、退行期、休止期を繰り返すヘアサイクルが乱れ、毛包が成長して新しい毛髪が増える成長期が短くなっています。
毛包は小さくなり毛髪が成長できずに、退行期、休止期に移行するため抜け毛が多くなり、成長していない細く柔らかい毛が増えてきます。
ミノキシジルは、毛包に直接作用して大きく成長させることで、毛母細胞の増殖やタンパク質の合成を促すことで発毛効果を発揮します。
また、短くなった成長期のうち抜け毛の起こる期間を短くし、毛髪の成長期間を維持して、脱毛を食い止め太い毛に育てる働きもあります。
ミノキシジルの副作用
効果が大きい成分であるミノキシジルですが、効果が期待できる反面、副作用もあります。
ミノキシジルを外用薬として利用した場合、最も多い副作用としては「頭皮のかゆみ」があります。
その他には、その因果関係が明らかになっていないものですが下記の様なものがあります。
・頭皮の発疹・発赤
・頭皮のかぶれ、フケ、使用部位の熱感等
・頭痛、めまい、気が遠くなる
・胸の痛み、心拍が速くなる
・体重増加、手足のむくみ、
・接触皮膚炎、湿疹、脂漏性皮膚炎
などの症状が副作用として確認されています。
また、ミノキシジルの含有量が多いほど、副作用の発生するリスクも高まります。
ミノキシジルを内服薬(飲むタイプ)として利用した場合はその効果も高くなるようですが、副作用もさらに強くなります。
ミノキシジル内服薬の主な副作用としては、
その因果関係が明らかになっていないもですが下記の様なものがあります。
・低血圧
・反射性高血圧
・全身の多毛症
・手足のむくみ
・頭痛、めまい、ふらつき、動悸、息切れ
・赤ら顔、皮膚の潮紅
・性的不能、勃起障害
などの副作用のほか、腎性全身線維症(腎不全、皮膚の硬化、関節拘縮をきたし、身体機能障害に陥る病気)、高カリウム血症、多臓器不全等重篤な副作用のリスクもあるとされています。
個人で判断して服用するのではなく必ず医師に相談して服用するようにしましょう。
また、錠剤はもともと降圧剤として開発されたものですが、循環器系への副作用が強いため降圧剤としても使用されなくなった経緯があります。
育毛剤としても利用することはお勧めできません。
ミノキシジル配合の発毛剤のラインアップは
大正製薬がリアップを発売後、特許の存続期間である20年が経ち、後発医薬品メーカーがミノキシジルを主成分とした製品の発売を開始しました。
どのような方にお勧めか
ミノキシジルを主成分とした発毛剤を使用できる方は、男女とも壮年性脱毛症の方です。
男性の場合、家族に壮年性脱毛症の方がいる方や、額の生え際が後退し前頭部と頭頂部の毛髪が細く短くなっている場合に、壮年性脱毛症の可能性があるので、ミノキシジル配合製品をおすすめします。
男性用にはミノキシジルの濃度が1%と5%の製品があります。
まず自分に合うか試してみたい方にはミノキシジル1%配合製品がおすすめです。
より高い発毛効果を期待される方はミノキシジル5%配合製品がおすすめです。
女性の壮年性脱毛症は、女性専用のミノキシジル1%配合製品を使用してください。
医薬部外品の育毛剤とは
育毛剤は薄毛や脱毛を予防する目的で使用する医薬部外品です。
育毛剤に含まれる成分
育毛剤には、各メーカーが独自研究で得たデータを基に、ビタミン剤や生薬、海藻抽出成分など、何十種類もの成分が配合されているものがあります。
ですが、ミノキシジルのように、臨床試験によって明らかに発毛効果が認められている成分は含まれていません。
各メーカーの研究によって育毛効果があると認められた成分が配合されているため、個人差はあっても育毛効果は期待できると考えることができます。
育毛剤の効果
育毛剤に配合されている成分の効果
- 毛髪の元になる毛根の毛母細胞の働きを活性化させる効果
- 毛細血管の血行よくする効果
- 頭皮の皮脂量を調整する効果
- 頭皮の保湿効果、炎症を防ぐ効果
などがあります。
多くの成分を組み合わせて配合することで、これらの効果が複合的に作用して、頭皮環境の改善や、脱毛予防などの効果を発揮すると考えられます。
育毛剤には、どんな種類の商品があるか
育毛効果、使用感、容器の使いやすさ、価格帯などは、個人差や好みがありさまざまです。
また、最近では店頭販売以外にも通信販売でのみ購入できる製品も増えています。
店頭でも買える商品